キャッシュレス

キャッシュレスのデメリットと現金も必要な理由

新聞やニュース、雑誌・・・

どこをみても

「キャッシュレス」ですね。

  • 日本はキャッシュレス後進国だから先進国に追いつかなければ!
  • 訪日外国人をもっと増やすにはキャッシュレスを!
  • キャッシュレスに乗り遅れるな!

みたいに煽っている記事もありますよね。

Paypay、LINE Payといったサービスが20%還元します〜みたいな大盤振る舞いイベントをする機会もあり、それらをきっかけに登録して使い始めた人も多いのではないでしょうか。

クレジットカードのポイント還元は通常0.5〜1%、現金払いの場合は別途ポイントカードなどを提示しない限りポイント付かないことを考えたら、破格の待遇ですね。

「これからはキャッシュレスだ、現金は時代遅れだ」みたいな風潮もあるかもしれませんが、良いことばかりではありません。デメリットはあります。

キャッシュレスの現状やメリットを伝える媒体は多いですが、その一方でキャッシュレスのデメリットを訴える新聞や雑誌は少ないように思います。

  • なぜ、競うように20%還元みたいな大盤振る舞いをするのか。
  • そもそもなぜクレジットカードや電子マネー決済、スマホ決済を行うとポイントが付くのか。

これらを考え、そのうえで便利なところは使い、そうではない部分は使わないといった感じで「使い分け、すみ分け」が必要です。

個人情報の問題

キャッシュレス決済は本当に便利で、今後ますますキャッシュレス化は進むでしょうし、メリットはしっかり受けていきたいですが、便利さの裏にはデメリットもあることを常に意識する必要があります。

例えば、これは今に始まったことではありませんが、カードの情報を盗んで不正利用される被害は後を絶たないですよね。

ECサイトに登録した番号が流出して悪用される、コンビニで店員が顧客のカード番号を控えて悪用する、などのケースも考えられます。偽の通販サイト経由で情報を盗む、スキミングで情報を盗むといった手口もまだまだ多いです。

ペイペイが最初に20%還元キャンペーンを行った際、「目立ちすぎた」せいか「悪い人たち」に狙われてしまって、利用者がペイペイに登録したクレジットカードの番号を盗まれることもありました。

私もインターネットや街中でカードを使う場合、毎回緊張します。

百貨店などではクレジットカード決済を選ぶと店員さんがバックヤードにいってしまうこともあります。

おそらくそこにレジがあり、決済したうえで戻ってくるのだと思いますし、店員さんもよほどのことがない限り不正はしないと思いますが、「もし自分のカード番号を控えられたらどうしよう」みたいな不安があるのは事実です。

ただ、カードが不正利用されても、各カード会社の規約に基づいて、利用者に責任がないと判断されると、不正利用された分を支払う必要はありません。

現金の場合は落としたりして他人に使われても、何の補償もないので、その点はすごいと思っています。

利用状況が丸裸

現金の場合、どこで誰がお札やコインを使ってモノやサービスを購入したか、履歴を追いかけることは基本できません。

ただし、クレジットカードや電子マネー、スマホ決済などの場合は違います。

  • 利用者がいつ、どこで、どんなタイミングで、いくら使ったのか、何を買ったのか
  • 利用者の性別や年齢、経済状況

これらの情報が全て丸裸です。

名前や電話番号など、特に大事な情報は表向き残らなかったとしても、自分がいつどこでどのような買い物をしたのか全てデータとして残ります。

このような情報は「ビッグデータ」と呼ばれ、企業が喉から手が出るほどほしいものです。だからこそ、自分たちのサービスをもっと使って欲しいのです。

そのため、20%ポイント還元といった「にんじん」をぶらさげて、利用者を囲い込もうとします。

ラインペイにしたら一人でも多くペイペイから顧客をとりたいはずなので、競うようにキャンペーンが次から次へと出てきます。

なぜ私たちはポイントをもらえて、現金と同じように使えるのか。

その対価として個人情報をカード会社などに提供しています。

カードなどを使えば使うほど、利用履歴は蓄積されていきます。

これらを分かったうえで使うのと、そうでないのとでは大きな違いがあります。

「個人情報保護」に関して、そこまでする必要があるの?というくらいヒステリックになることもある日本社会。一方で、キャッシュレス化で個人情報はどうなるのか、決済システムと個人情報の関係といった議論が少なく感じるのは気のせいでしょうか。

中国とは状況が違う

中国では屋台でもキャッシュレス決済になっている。それに比べて日本はどうか・・みたいな議論がされることが多いですが、中国と日本では事情が違うはずです。

中国でキャッシュレス決済が急速に進んだのは、そもそも現金が信用されていないからです。

偽札が横行し、お札そのものも汚染されていることがあり、それで病気に感染したらどうするのかといった問題もあります。

日本のように全国津々浦々まで銀行やATMが張り巡らされ、国民全員といっても過言ではないくらい、みんな銀行や郵便局の通帳を持っていて、いつでもどこでも現金を引き出せる環境ともいえません。

内陸部を中心に、そもそも銀行口座も持っていない、通帳も当然ないなんてことも珍しくありません。

そのようなななか、スマホが急速に普及し、ウィーチャットやアリペイといった企業が出てきて飛び級のようにQRコード決済が普及、定着しました。

日本では偽札も少なく、お札そのものが汚染されていて触れないといったことはほとんどありません。現金そのものに信用があり、いつでも、どこでもATMで現金を引き出せますよね。

普段はほとんど意識しないかもしれませんが、これって結構すごいことです。

使い分ける

じゃああなたは現金派なの?と思われるかもしれませんが、日常生活で私は現金とキャッシュレス決済、両方使っています。

カードで支払いをすることも多いです。

記録が残るので明細がそのまま家計簿になりますし、考え方次第では便利です。仕事の経費もいまはクラウド会計ソフトがありますし、カードと紐付けると自動で処理してくれます。

通販サイトでの買い物、高額な買い物もカードですることが多いですね。

ポイントがたまることも多く、同じ金額を払うならポイントつくほうで!となっても不思議ではありません。日常生活の支払い全てをキャッシュレスにした場合、年間数万円、なかには10万円以上ポイントがたまるケースもあると思います。

その一方で、わざわざ記録に残す必要がない場合は現金を使うことが多いです。

こんなことを言うと、現金を使う時は何か悪いことをしているのか!?と思われてしまうかもしれませんが、そんなことはありません(苦笑)

例えば友人などとの飲み会で「ワリカン」をすると、支払い前後に現金でやりとりする人は多いのではないでしょうか。

最近ではスマホ決済でワリカン機能があり、AさんからBさんに送金することもできますが、全員がスマホ決済を使っているわけではないですし、送金に手間や苦手意識を感じる人もいるでしょう。結局やっぱり現金が便利だよねってなるわけです。

そもそも「お金には色がない、色をつける必要がない」と思っています。

キャッシュレス決済をする場合は「自分の消費記録は企業や国に教えている、今後渡ってもおかしくない」と思って使っています。あらゆることがガラス張りになるわけです。

個人情報の流出はまだまだ多いですし、今後もいきなり減ることは考えにくいです。

そのため、自分自身で防衛するのも大切です。

自動で記録に残したほうが便利という時にキャッシュレス決済を使う、手動で記録に残したい時は現金を使うイメージでしょうか。

あと、災害時などは停電でキャッシュレスのシステムがダウンすることも考えられます。普段現金を全く使わない場合でも、災害対策にいくらか準備しておくのは大事かなと思っています。

よく現金派が〜、キャッシュレス派が〜と対立軸で話をされることがありますが、私はどちらも使い分けたらいいやんって立場ですね。

現金のデメリット

現金主義の場合もデメリットはあります。

  • ATM引き出し手数料がかかることがある
  • いつでも、どこでも引き出せる環境の減少
  • ポイント還元されない
  • キャッシュレスよりも値段が高くなる可能性

現金を引き出すためにATMに並ぶ方も多いかもしれませんが、混雑していると引き出すのにも時間がかかりますし、その時間がもったいないです。

手数料も年々上がっていますし、例えば1回108円としても塵も積もれば山となります。それに金利が0.001%など、ほぼゼロに等しい時代、108円とられるのはかなり大きいです。

現金派でも、極端な話毎日仕事終わりの夜、ATMに通っていたら手数料はかなりとられてしまいます。

銀行も人員削減や店舗整理で、支店やATMも削減し始めています。

今までは都会や田舎どこにいても、いつでも現金を引き出せる環境にありましたが、今後はそうもいかなくなってしまう可能性もあるのです。

全て現金で払った場合、クレジットカードなどのようにポイントは付与されません。

ポイントは最初からいらないよ〜は別にして、同じ買い物をしているのに「差」が生まれているのです。ポイントも当然、お金として使えるので、全く使わないのは結構損かなと個人的には思います。

単にポイントがつく、つかないなら良いのですが、クレジットカード会社がポイントを還元するということは、その分誰かが負担しているわけです。言い方は悪いですが、ポイント還元分を現金主義の方からとろうと考えても不思議ではありません。

例えば車の高速道路で使われるETCカード。

土日祝日や早朝など、ETCを使って走行すると割引価格になることが多いですよね。ただし、一般レーンを通って現金で払う場合は割引は一切なく常に一般価格ということも。

同じ時間、同じ距離を、同じ車で走っているのに料金が2000円くらい違うなんてことも少なくありません。

まとめ

キャッシュレス化は、政府も積極的に進めようとしていて、国内のキャッシュレス決済比率は現時点で約20%、2020年代には40%代まで高めたいようです。

確かに、キャッシュレス決済の普及も大切ですが、「海外がキャッシュレスだから日本もそうしなければ」という考え方や姿勢は疑問を感じます。

お店側、消費者側に関係なく、決済手段の選択肢は今後も複数あっていいのでは?

いろんな選択肢があるなかで、キャッシュレスと現金、お互いの良いところを活用しつつ、収入や支出の環境、経済状況、家庭状況などに応じて選ぶ、使い分ける必要があるのかなと思います。

どちらか一本に絞らないといけない法律はいまのところないわけですから。

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