政府や企業は必死になって、決済手段を現金からクレジットカードやデビットカード、スマホのQRコード決済、電子マネー決済等に移行させたいと考えているようですが、なかなかうまくいっていないようです。
楽天リサーチがおこなった「キャッシュレス決済に関する調査」によると、オンラインショッピング以外の日常的な買い物や飲食で利用する決済手段は「現金」(90.0%)が最多(複数回答)。次いで「クレジットカード」(82.5%)、「商業系カード型電子マネー(nanaco、WAON、楽天Edyなど)」(43.4%)だった。
現金を利用する理由の最多は「現金以外の決済手段だとお金を使いすぎてしまうから」(41.8%)。2位が「現金以外の決済手段を使える場所が少ないから」(13.6%)、「現金以外の決済手段はセキュリティに不安があるから」(13.4%)だった。なお、一人当たりのクレジットカード平均所持数は2.9枚。1枚だけを所持する人は20.0%にとどまった。
この調査は、楽天リサーチのモニターのうち、全国の20代から60代までの男女1000名を対象に実施したもの。調査時期は2018年6月1日から2日間。
引用元:トラベルボイス
日本の決済手段のトップは現金
日常的な買い物や飲食で利用する決済手段は現金が約90%を占めています。
一方で世界では電子マネーやカード、暗号通貨の普及などでキャッシュレス化が急速に進み、中国やインドでは爆発的に進んでいますし、スウェーデンでは現金比率が2%だそうです。
日本も消費税の増税と抱き合わせで取り組んだキャッシュレス化推進政策で、キャッシュレス決済の割合は増えているものの、まだまだ現金派が多いですね。
政府や企業が一生懸命推進しても、なぜ思うように進まないのか。
キャッシュレス決済のデメリット
・お金の流れが複雑になりやすい
・セキュリティに不安がある
・現金以外だとお金を使いすぎる
・そもそも現金以外の決済手段を使える場所が少ない
・災害や停電など非常時に弱い
お金の流れが複雑になりやすい
現金の場合、
- 銀行やコンビニのATMでお金をおろす(残高確認)
- 利用する度に財布内の残高、出入り状況を確認
このようにお金の流れは明確です。
実際に目で見て確認できますよね。
ただし、これがキャッシュレスになると、複雑になるケースが多い。
オンライン上でのやりとりになるだけでなく、サービスがものすごく多い。
- 交通系電子マネー(Suica、ICOCA、PASMOなど)
- 通信系電子マネー(楽天Edy、iD、QUICPayなど)
- クレジットカード(VISA、Master、JCBなど)
- デビットカード
- スマホ決済(LINE Pay、PayPayなど)
- 暗号資産決済(BTCやETHなど)
いっぱいあります。
極端な話、
全てのサービスを使っている場合、それぞれのサービスごとに「いくら使ったのか」データにまとめ、銀行口座の情報もあわせて最終的に「全部でいくら使っていたのか」自分で集計する必要があります。
なかには、これらのサービスを一元的に管理し、銀行口座や各種サービスのIDやパスワードを連携させて、まとめられる家計簿アプリもありますが、連携できる銀行口座やクレジットカード会社、決済サービスに制限があるなど、とても使いやすいとは言えない状態・・
サービス、アプリが次から次へと登場するため、いったい何を使えばいいのか分からなくなる問題も発生しがちです。
なんだかいっぱいあるけど一つに統一してくれないかな?と思う方も多いのではないでしょうか。

セキュリティに不安がある
- お店側にクレジットカードの情報が残るのでは?
- 店員さんが自分のカードの番号を覚えて不正利用されるのでは?
- 家計簿アプリに登録した銀行口座やクレジットカード情報、アプリ情報が漏れたら?
など、考え始めたらキリがないものの、個人情報が漏れるセキュリティ面のリスクを心配する声は周りでも多いですね。
クレジットカード情報はお店側の端末には残らないようにする、一定以上の期間を過ぎると個人情報が消去されるなどの対策をとるケースもありますが、どこまで本当なのか、しっかり対策されているのかは、正直分かりません。
決済サービスを提供する会社を通じて国に「筒抜けになってしまうのでは?」という不安も消えませんね。
考えすぎるのも問題ですが、このような不安があるのは事実ですし、個人情報を登録するのは怖いと二の足を踏んでしまいます。
お金を使いすぎる
現金の場合、使うと財布の中からお金がなくなっていきます。目に見えて「今月はいくら使ったのか「最近使いすぎているかな」などと判断することができます。
ただし、キャッシュレスの場合は、オンライン上のやりとりなので、「自分が今までにいくら使ったのか、予算的にあとどれだけ使えるのか」といった判断をしにくくなるデメリットもあります。
そのため、現金払いをやめると「使いすぎてしまうかもしれない」「お金の管理が難しくなる」と感じる人も多いですね。
そもそも現金以外の決済手段を使える場所が少ない
キャッシュレス決済を積極的に使いたい場合でも、そもそもまだ使える場所が少ないのも事実です。
大手のチェーン飲食店やスーパー、コンビニ、外国人観光客が多いお土産屋さんや商店街などでは利用できますが、個人や中小のお店はほぼ使えません。
支払いの時「現金のみですか?カードは使えますか?」と聞くと「現金のみです。すみません。」と言われることも多いです。
- お店でカードが使えるか、使えないか毎回確認するのは手間
- カードやQRコード決済が使えるお店を選んで行動するのが不便
というデメリットもありますね。
個人事業主や法人経営者の場合、税金を自分で納める方も多いと思いますが、クレジットカードが使えない、使えたとしても制限があるケースも多いです。
そのため、カードが使えない場所が多いから現金でいいという考えも多いと思います。
お店側も、本当はキャッシュレス化したいと考えているところも多いです。そうすることで売上管理の効率化も図れますし、メリットはあります。
ただ、問題は決済端末や決済手数料です。
私たちがお店でクレジットカードを使う時、あまり意識しないと思いますが、お店側は決済手数料をクレジットカード会社に払っています。
税金の支払いなど、一部、利用者側が負担するケースもありますが、手数料はお店側が負担することがほとんどです。それに決済端末も、導入するのにお金がかかります。
デフレの日本で飲食店などは単価を下げるため、熾烈な競争を繰り広げ、その中でいかに売上を上げるか考えていますが、そのなかで、たとえ1%でも手数料の支出が発生するのは厳しい・・
それなら「端末代や決済手数料がかからない現金払いでいいやん」とお店側が考えるのも自然の流れですね。
災害や停電など非常時に弱い
今後どんなにデジタル化が進んだとしても、現金も常に用意しておく必要はあります。

というのも、
デジタルサービスは災害時や非常時に弱いからです。地震、台風、豪雨など、日本は災害が起こりやすく、正直全国どこにいても「いつ何が起こるのか」分からない状態です。
災害が発生すると停電や断水等も発生する可能性が高く、そうなると、電気で動くサービスは機能しません。
コンビニエンスストアやスーパーに買い出しに行っても、決済できず、現金で払う必要があります。
電子マネーとして100万円持っていたとしても、現金がゼロなら何も買えないわけです。
災害が発生した時、ツイッターなどでは「電子マネー使えなくてモノが買えない」といった悲鳴の声もありました。
そのため、普段はカードやスマホ、電子マネー決済で現金は一切使わない方でも、地震などの有事に備えて、最低でも10万円ほどの現金を常に用意しておく対策も必要ですね。
じゃあ結局どうすればいいの?
いままでデメリットをお伝えしましたが、じゃあ結局どうすればいいのか。
ニコニコ現金払い一択でキャッシュレス化は全く考えなくていいのかと言われたら、そうではありません。
現金払い、キャッシュレス、双方のメリットを生かしてデメリットを補うような形で、二刀流でいくのがいいと個人的には思います。
(基本)
クレジットカードやスマホ決済で支払い、ポイントももらう。
個人事業主や法人経営者の場合は、プライベートで使うカードと仕事で使うカードを分けると、経費の計算や管理がしやすくなります。
(現金払い)
- 税金や保険
- 現金のみのお店
- 友人との飲み会、仕事の飲み会などでのワリカン
- 災害や停電など非常時対策
キャッシュレスの場合、使うだけでポイントが自然とたまり、運営企業のキャンペーンなどでポイントが上乗せされることもあります。同じ金額を現金で払うよりもお得になることも多いですね。
ただ、だからといってポイントをためることが目的になってしまっては意味がありません。ついつい使いすぎてしまう人も要注意です。
お金の管理は大の苦手、クレジットカードやQRコード決済などの明細を確認する習慣がない、現金以外は使いすぎてしまう場合は、いまのところ現金主義でいいと思います。
どちらがいい、悪いとかではなく、自分の性格やクセ、考え方に沿って選択していきたいですね。