先日、共同通信のニュースで「日本の子どもの幸福度が最低水準」といった内容がありましたが、なぜこのようなことになるのか。幸福度や自己肯定感が低い、このままだと損してしまう理由とは?
日本の子どもの幸福度が最低水準
日本の子ども、幸福度が最低水準 ユニセフの38カ国調査
国連児童基金(ユニセフ)は3日、先進・新興国38カ国に住む子どもの幸福度を調査した報告書を公表、日本の子どもは生活満足度の低さ、自●率の高さから「精神的な幸福度」が37位と最低レベルだった。「身体的健康」では1位で、経済的にも比較的恵まれていたが、学校のいじめや家庭内の不和などを理由に幸福を感じていない実態が明らかになった。
教育評論家の尾木直樹さんは、日本の学校現場を「いじめ地獄」と表現、偏差値偏重による受験競争過熱も相まって「子どもの自己肯定感が低く、幸福感が育たないのは必然的だ」と指摘した。
引用元:共同通信(2020/09/03)
※一部表記を変更しています。
そもそも・・
そもそも、幸福度をランキングにしている時点で時代遅れ、おかしいでしょ?といった考え方もあります。
私自身も、その考えに近いですが、例えば日本とアフリカ諸国の子どもたちの幸福度を比較してもあまり意味がありません。
いっぱいモノがあるかどうかで幸福度を比較できるわけではありません。
アフリカなどの発展途上国は、例えば新鮮な水を飲めない、電気が通っていない、ガタガタの道を片道何時間もかけて働きに行く・・といったこともまだまだ珍しくありません。
その一方で日本は
- 蛇口をひねればきれいな水が出てくる
- スイッチを入れたら電気がつく
- エアコンがあれば、外はどんなに猛暑や寒波でも、快適に過ごせる
- 基本的に朝昼夜の3食を食べたい時に食べられる
- 病気になれば、国民皆保険で病院に行って診察してもらえる
これらの内容を挙げて、「客観的にみたら日本は恵まれているのに、そんなこと言うのはおかしい」と批判する人もいます。
確かに、蛇口をひねればきれいな水が出てくる、暖かい風呂に入れて、エアコンもついていて、病院にも行ける・・これは恵まれています。
ただし、絶対的貧困と相対的貧困という言葉が度々話題になるように、日本で過ごす幸福度と、アフリカでの幸福度を同列に語るのはナンセンスです。
家庭と学校教育の弊害
なぜ、日本の子どもたち(大人もそうですが)は幸福度が低くなってしまうのか。
ヤフーなどのコメント、専門家の方々も様々な方面から分析されていますが、やはり家庭と学校教育の弊害の部分は大きいと思います。
家庭の問題
夫婦共働きで、仕事や家事育児と多忙で、家族でゆっくり会話する時間もない。
ストレスフルの状態が続き、ちょっとしたことがきっかけで爆発し、夫や妻、子どもへ向かうケースも少なくありません。
例えば3歳〜5歳くらいの子どもがいたとします。
昼間は幼稚園や保育園で過ごし、夕方や夜に親と再会して、寂しかった気持ちをぶつけたくても、親は親で仕事や家事で疲弊し、子どもと満足に向かい合う余裕がない状態。
0歳児などの弟や妹がいる、双子などの多胎児育児、といった場合はさらに深刻な状況になることも多い。
それに加えて「ワンオペ」になるとなおさらです。
「下の子」の世話が中心になり、「上の子」をみる余裕がなく、かまってほしいアピールしてきても、「今忙しいから!」とはねつけてしまう。
「どちらかが専業主婦(主夫)になればいい」
このような意見もありますが、そうなったら今度は収入が減るわけなので、お金の問題が深刻化します。
子どもは親のことをよく観察するので、疲弊している親や大人をみると「大変そう、大人になりたくない」などと悲観するようになります。
八方塞がり状態になってしまい、大人も子どもも、じわじわ心身ともに疲弊し、誰も得しない「悲劇」を生んでしまうのです。
小学校の高学年とかになれば少しずつ「マシ」になってくるかもしれませんが、
その頃には、これまで積み重なった「すれ違い」がもはや修復できないレベルになっていることもありますし、
高学年や中高生になれば思春期など、別の問題も出てきます。
学校教育の問題
学校のいじめ問題、偏差値偏重による受験競争過熱といった問題がとりあげられていますが、
- 個性を消してしまう教育
- 自己肯定感を低下させる教育
- 意味不明な校則や規則の存在
- 同調圧力が強く「出る杭は打たれる」風潮
- 異質なものを排除する風潮
- 減点教育でネガティブ感情の強さ
- 悪い意味で謙遜
これらの影響がネット上の誹謗中傷にもあらわれていますね。
自分とは考えが違う人がいたり、周りと違うことをする人がいると徹底的に叩く。
そして叩かれた人は萎縮し、最悪の場合、引きこもりやうつ、自●など、最悪の展開を迎えることも少なくありません。
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他にも、
例えば親が、ママ友などから自分の子どもを褒められた時、自分の子どもの目の前で
「全然そんなことないわよ〜。うちの子、運動はできないし勉強もダメダメで〜」
などと言われたら・・
たとえ親は冗談で言ったとしても、子ども自身はどう思うでしょうか。
「やっぱり自分はダメなんだ」などと、みるみる自己肯定感は低下してしまいます。
子どもを取り巻く環境が厳しくなっている感じもします。
公園で遊びたい
↓
うるさいからダメ
ボール遊びしたい
↓
危ないからダメ
ゲームする
↓
ゲームばかりして、
運動しなさい
親が共働き
↓
ひとりでかわいそう
親が専業主婦
↓
おたくは余裕あるのね
・・・
・・・
もはやビジネスや投資でもよくある反論みたいになっていますが、これでは、どうやって幸せになれというのかって感じになってしまいます(苦笑)
まとめ
モノがたくさんあれば幸せといった時代はすでに終わりました。モノがあっても心身ともに余裕がなければ意味がありません。
このような問題は今に始まったことではありませんが、新型ウイルスの影響で一気に浮き彫りになった感じですね。
今回はあまり触れませんでしたが、経済格差もあります。
幸せになるためにはお金が必要ですが、それだけでは意味がない。
「心身ともに、時間的にも余裕があること」
これがいかに大事か、「日本の子どもの幸福度が最低水準」といった内容のニュースを見て、改めて考えさせられます。