将来何があるか分からないからと漠然とした不安だけで保険に入る人が多いですが、本当にそれで大丈夫ですか?
- 老後に何があるか分からないから
- がんなどの病気、親や自分の介護などが発生したらお金がかかる
- 何かあったとき生活できないと大変だから
といった理由で民間の保険に加入している人も多いのではないでしょうか。
終身医療保険や貯蓄型保険の営業で、
「60歳、65歳で保険料を払い終わって、後は終身で備えられるので安心ですよ」みたいな感じで言われ、それなら老後も安泰だよねと思うかもしれません。
ただし保険は「無敵の武器」ではありません。
保険で損して人生を棒にふらないために、必要な考え方、保険の定義について見直しましょう。
その保険が将来使えなくなる?
保険は契約なので、基本的に契約した時点の保障内容が全てといっても過言ではありません。
そのため、保障内容に書かれていないものは対応してくれません。
例えば2019年の時点で終身医療保険に加入したとします。
いますぐ保険にお世話になる人は少ないと思いますし、実際に保障が必要になるのは30年後、50年後かもしれません。保険にお世話になることがないまま過ごすケースもあると思います。
では、契約した時点から50年後の2069年に保障が必要になる事態が発生したとして、どうなるでしょうか。
2019年時点では考えられない、ありえないと思われていた医療技術が登場したり、今まで当たり前と思われていた技術がなくなっている可能性があります。
いまから50年前の1969年の人々がタイムスリップして2019年の時代に来たら「なんだこれは?」とかなり驚くと思います。
医療に限らず、まちを歩いていても老若男女問わず、手のひらサイズの小さなPC(スマートフォン)で、いつでもどこでも情報を入手し、SNSで手軽に個人が情報発信ができるわけです。
IT技術だけでなく、保険に関係する医療技術なども時代とともに変化して当然です。
例えばロボットによる支援手術(ダヴィンチなどが有名)も最近テレビ番組で取り上げられる機会が増え、認知度も高くなってきたように思いますが、
50年前に契約した保険の約款に「ロボット手術も保障します」とはほとんど書かれていません。もし書かれていたらそれはそれですごいですが・・・
いまから50年後にはロボット手術以上のすごい技術が出ている可能性もあります。
錠剤のようなカプセルを飲むだけで、体内でミニロボットが手術をしてくれるみたいな・・そのような保障も先回りして書いてくれたらありがたいですが、そんなことはありません。
そのため、
いざ保障が必要になったときに「その手術は保障の対象外です」と言われてしまったら・・・
自分ならかなり落ち込むと思いますし、いったい今まで何のために保険料を払い続けて生きたのか!となってしまいますね。
人生100年時代
自分は何歳くらいまで生きるのか。
誰でも一度は考えたことがある内容と思いますが、日本人の平均寿命は男性が約80歳、女性が約88歳ともいわれています。
平均寿命はどんどん伸び、男女ともに100歳と言われる時代が来るかもしれません。
「いやいや、確かに平均寿命は80歳とか90歳とか言われてるけどさ〜自分には関係ないよ。生活は規則正しいわけじゃないし、運動も嫌いだし・・」
と思っていたとしても、
平均寿命は伸び続けているので、2019年時点で60歳だとしても、あと30年、40年生き続けるのも珍しくありません。
保険は万能ではない
平均寿命が伸びるのは素晴らしいことですが、同時に様々なリスクも出てきます。健康で長生きできたら素晴らしいですが、年をとるほど病気や介護などのリスクは上がります。
「そのために保険があるんじゃないの?なにか問題があったら保険会社が助けてくれるはず。保険料を払って終身面倒を見てくれるなら素晴らしいじゃないの?」
と思われるかもしれませんが、
保険会社も民間企業です。
聖人君子やボランティアではないですし、当然ながら利益を上げていく必要があります。
赤字を垂らし続けながら何から何まで面倒を見てくれるわけではありません。
・社員に払う人件費
・会社の諸経費
・会社の利益
これらの部分を賄うために保険料から手数料として抜いています。
「何かと今は不安だから民間の保険に入って備えたい。守られたい」気持ちも分かりますが、保険会社はどう経営しているのか、冷静に考える必要もああります。
こんなことを言うと保険会社の関係者の人に怒られますが、老後の生活がどうなるか不透明な時代に、
保険会社の経費や人件費を永遠にこちらが負担し続けるのは、果たして賢明と言えるのか、疑問が残ります。
高齢化が進み、病気や介護などの現実に直面すると保険会社から給付を受ける機会も増えるかもしれません。ただし、それ以上に保険料として負担する可能性も高いわけです。
保険会社としても、収入が増えず、高齢者の病気や介護などのリスクが増えて支払いばかり増えたら経営ができなくなってしまいます。
そのため、保険料を上げないかわりに、保障内容を減らす可能性もあります。
なんでもかんでも面倒見て、保険金を払い続けると、保険会社も経営破綻しますから。
そもそも保険とは?
そもそも保険とは何か。
保険に加入している方に質問です!
「あなたは何のためにその保険に入っていますか?」
もしこの質問に具体的に答えられない場合は、今すぐ保険を見直す必要があります。
- 勤務する会社に出入りする保険会社の営業マンに勧められたから
- 親から「保険に入っておけ」と言われたから
- この先給料だけで生活するのは難しいから保険で運用しようと思ったから
- とにかく将来が不安だから
- なんとなく入っておいたほうがいいと思ったから
- 周りもみんな入っているから
- 結婚したらとにかく保険に入るものでしょ?
もし、このような理由で入っている場合は要注意です。
保険に入るといってもタダではないはずです。
安い保険でも毎月数百円、通常の保険でも数千円、場合によっては1万円以上、固定費として継続的に支払いが発生するわけです。
毎月1万円としても年間12万円、10年で120万円です。
そもそも保険とは何なのか。
しかるべきリスクに備えるために、一定期間、必要な金額を掛け捨てで入るもの
そのため、
- どのようなリスクに備えているか分からない
- 期間を特に決めていない
- 必要な金額以上払っている
- 掛け捨てはもったいないからと、貯蓄型などに入っている
のは非常にリスクがあるといえますね。
どうすればいいのか
時代とともに様々な技術や必要な保障内容は変化し続ける
これを前提に「小回りの効く状態」を持っておく必要があります。
医療保険が必要な場合は短期の掛け捨てで保障し、もっと必要になったら切り替える、いらなくなったらやめる感じですね。
保険は不動産(マイホーム)に続いて支払いが多い買い物と言われています。
不動産が4000〜5000万くらいで、保険は2000万円くらい生涯で払っているともいわれています。
その一方で実際に受け取る金額の平均は
なんと・・
200万円くらい。
これを聞いてあなたはどう思われますか?
- 結局病気とかならなかったなら、良かったやん何もなくて!
- 保険に入っていたから病気や怪我もせずに済んで良かった!
このように思われる人もいます。
確かに結果的に病気や怪我、その他のトラブルも一切なく、人生を過ごすことができたらもちろん嬉しいですし、問題が起こらないことに越したことはありません。
ただし、2000万円払っても実際に受け取るのは200万円なわけです。
保険は損するものとはいえ、差し引き1800万円はどこに行ったのか・・これを考えなければいけません。
まとめ
もちろん保険=悪いもの、ではありません。
保険に入る目的を徹底的に考え、その時々に必要なものを掛け捨てで入ってカバーするのは大切です。
余裕資金(余剰資金)があり、保障を手厚くしておこうと考え、あえて多めに入る人もいると思います。
ただし、実際は生活が厳しいのに、やたらと保険に入る人が多いのも事実です。月20万円の収入で保険に毎月2万や3万とか払っている人もいます。
もし同じ金額を払うなら、保険ではなく資産運用に回すべきですね。
繰り返しになりますが、
そもそも保険とは何なのか。
保険の定義を再度見直しましょう。