世の中には役所等に申請すればもらえるお金も多いですが、全然知らない人が多いです。自分の大切なお金や家族を守るためにも、制度や権利への意識を持つ必要があります。
知らないと搾取されるだけ
どのような権利を行使できるのか、恩恵を受けられるのか、制度を活用できるのか・・などは自分自身で積極的に情報を取りに行かなければ誰も教えてくれません。
例えば「役所などに申請(届け出)をしたらもらえるお金」も結構ありますが、このような情報を知っているか知らないか、実際に申請するかしないかで全然違います。
会社員の場合は健康保険制度に加入しているケースが多いと思います。
- 病気で病院に行って治療を受けたら自己負担は原則3割
- 高額療養費制度があり、1ヶ月に払う医療費には上限がある
- 健康保険組合によってはさらに負担割合を下げてくれるところもある
- うつ病や怪我などで会社を休むともらえる傷病手当金
- 失業給付金や再就職手当
このように制度はたくさん用意されていますが、どのような時に、どの制度を活用できるのかなどを知らない人が多すぎる。
学校や役所などでも積極的に教えてくれないことがほとんど。
制度を知らなければ、例えば怪我をして会社を長期的に休む場合「とりあえず有給を使います」なんてことになるのです。
有給休暇の場合、貴重な休む権利を消化するだけでなく、課税されるし社会保険料も引かれます。一方で傷病手当金の制度を活用すれば、社会保険料は通常通り負担する必要があるものの、非課税です。
「貴重な有給を病気で使ってしまったら、旅行や子どもの参観日など、個人的な予定があるときに使えなくなる。有給と傷病手当金は分けて考えて利用するべき」です。
日本の年金制度も、私たちはどうしても「将来年金をもらえないのでは?」という不安ばかりに目がいいがちですが、年金は基礎年金だけでなく障害年金や遺族年金の役割があります。
- もし自分が亡くなったら遺族年金は支給されるのか
- 病気や怪我で障害を負って働けなくなった時の障害年金はいくら?
なども考える必要があります。
自分の収入や権利をシビアに考える
- 何もせず放って置いても、何かあれば国や地方自治体、企業がなんとかしてくれる
- 自分に何か困ったことがあれば、いつでも誰かが絶対に助けてくれる
- 老後の面倒は国がなんとかしてくれるだろう
このように考える人も少なくありませんが非常に危険です。
国や地方自治体は様々な制度を用意していますが、それらの勉強や情報収集を全くしないまま、「国は何もしてくれない、自分の将来が不安だ」などと批判しては本末転倒です。
健康保険以外にも、iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)といった資産形成や資産運用に関する制度が整備されてきました。
iDeCoやNISAは投資なのでもちろんリスクはつきものです。ただし、単に投資するだけでなく掛金が自分の所得から控除され、節税にもなります。
金融庁や銀行もいつのまにか「貯金から投資へ」みたいな感じでCMも使って宣伝しています。
金融庁は国、銀行は民間企業ですが、官民一体で「これからは投資も積極的にして、自分の資産は自分で作っていってくださいね。国も全部面倒見きれなくなるのでよろしくおねがいします」と言われているようなものです。

働き方についても、プレミアムフライデーなどの働き方改革、副業の推進の話題も増えてきました。
高度経済成長時代のように「新卒で入社した会社で定年まで働く、真面目に働けば一生安泰」ではありません。業績不振や不祥事1つで、ジェットコースターのごとく会社の経営が傾き、倒産や解雇のリスクもあります。
業績不振や不祥事がなく、むしろ業績好調でも、AIなどの発達で根本的に仕組みを変える必要があり、いまはリストラされる可能性がある時代です。
そのような激動の時代だからこそ、全面的に他者に頼るのではなく「稼げる時に稼ぎ、万一に備えて資産形成も少しずつ行っていく」必要があります。
横並び主義からの脱却
- 制度を知っている人はどんどん活用して節税する
- 申請したらもらえるお金は積極的にもらう
一方で、これらの制度を知らない人や無頓着で興味がない人は、
- 権利として認められている控除や節税対策も使わず、税金をしっかりとられる
- 申請しないので、もらえるお金ももらえない
このような「格差」が生じてしまいます。
役所に申請したらもらえるのに申請しなかったら、役所としては「払わずに済んだ!ラッキー!」です。一方で住民税などを滞納すれば、支払いが終わるまで容赦なく督促されます。
税金もそうですね。
確定申告はなにも個人事業主や会社経営者のみがするものではありません。会社員や専業主婦の方でも積極的に使いたい制度です。
例えば所得税の医療費控除。
医療費の領収書や交通費の領収書などを管理して、確定申告の手続きをする必要があるので「面倒くさい」のは事実ですが、これをやることで5000円、場合によっては5万円などの金額が戻ってくる可能性があります。
たかが5000円?・・されど5000円です。
私の実家はサラリーマン家庭ですが、母は私が子どもの頃から毎年欠かさず医療費控除の確定申告をしていました。
「申請したら5000円とか1万円、場合によっては5万円とか返ってくるのよ?なにもない状態で5000円、1万円稼ぐのは大変だけど、申請するだけで返ってくる。権利として認められてるんだから使わないと損でしょ」
と言われたことがあります。
ただし、
「役所などに申請(届け出)をしたらもらえるお金」などと言うと「怪しい、怖い、悪いことをしているのでは?」という方も多いです。
会社の有給休暇もそう。
せっかく制度で認められているのに全く使わないのは不思議で仕方ありません。有給の権利があるのに全く使わず仕事をする・・これはこれで素晴らしいことかもしれませんが、もったいないなと思ってしまいます。
「それはあくまで理想論で現実は甘くないんだよ!そりゃあ、有給をフルに使えたら嬉しいけど、誰かが休めば、かわりに誰かが仕事をする、しわ寄せも来る。休んでばかりだと同僚に申し訳ないし気まずくなる」
と批判されることがあります。
有給休暇をフル消化して同僚に嫌われたらどうしよう、仕事がやりにくくなったらどうしよう・・このような不安がある人も多いと思います。
会社の雰囲気や仕事の事情などもあると思いますが、本来なら会社全体で「使っていい権利は正々堂々と使おう」といった雰囲気を作ってほしいですね。
「みんな横並びであるべき、出る杭は打たれる」という教育を受けてきたので、周りと違うことをするのは最初怖いと思います。
ただ、そうやって「傷のなめあい」をしてお互いに疲弊してしまっては元も子もありません。
横並び主義から少しずつ脱却しましょう。
批判する人ほど制度を活用していない
日本の場合はお金の話をしたり、資産形成の勉強を始めると「お金に執着してる」とかいろんな批判をされることも多いですが、資本主義の中で生きている限り、お金がないと生活するのが難しくなるのも事実です。
「お金が全てではない」と言っている人こそ「お金が全て」になってしまっています(笑)
「使ってもいいよ」と言われた権利は全て使いきらないと損です。
「いまの自分や将来的にどのような権利が使えるのか」
これらを情報収集し、勉強する必要があります。
給料が低い、税金が高い、国が悪い、行政が悪い、会社が悪い、上司が悪い・・などと言ってばかりでは何も変わりません。
これからはますます情報を持つ人と、そうでない人の格差は大きくなります。
健康保険料などの社会保険料はしっかり払っている(給料から天引きされている)のに、制度や、いざというとき受けられるものの内容を全然知らない人が多い。
これでは中身のよく分からないものに寄付しているのと同じです。