「お金が嫌いな人はいますか?」
「お金が嫌いな人は挙手してください」
みんながいる前で挙手する人は少ないと思いますが、内心、お金に対してあまり良いイメージを持っていない人も多いのではないでしょうか。
世の中にはお金が原因でトラブルに発展することも少なくありません。
夫婦喧嘩や離婚の原因の90%以上はお金の問題だと思います。性格の不一致とかよく言われますが、実際はお金が絡んでいることが多いですよね。
学校教育でお金を教えない日本
こんなことを言うと
「いや、学校教育でもきちんとお金や金融のことを教えているよ」
と反論されるかもしれません。
確かに、自分自身の過去を振り返っても、
(小学校)
- モノ、お金の大切さ
- お小遣いの使い方など計画の重要性
- 買い物の仕方
(中学校)
- 日銀と市中銀行の関係
- 金融緩和と引き締めの違いなど、金融の基礎知識
- 働くとは?職場体験活動
- 公民などの科目で税金の基礎知識
(高等学校)
- 金融や財政の基礎知識
- 多重債務者の問題
- クーリングオフ、ねずみ講などの問題、トラブル事例
- 家計、収支の考え方
こんな感じでいろいろ学んできたと思います。
文部科学省の学習指導要領も年々変わっていくため、いまは全然違う感じかもしれませんが、大枠はあまり変わっていないのではないでしょうか。
確かにお金の用語や仕組みなど、簡単な知識は教わります。

ただし、実践的な学びがほとんどない。
歴史の勉強でいえば、1467年に応仁の乱がありました、1582年に本能寺の変がありました、といった知識は身につきます。ただし、なぜ応仁の乱が起こったのか、本能寺の変の背景や黒幕説などは全然教わりません。
「日本では学校でお金の話を習わないから金融リテラシーが低い」とよく言われますが、教えられる人がいないのもあると思います。
学校の先生は公務員であって、ほとんどの場合は経営者や投資家、金融機関で働いたことがある人ではありません。
先生本人が「お金は嫌い、お金は汚いもの」と考えているケースもあり、お金が嫌いな人がお金の教育をしても、否定的な情報しか伝わらないことも多い。
本体なら、お金に対してポジティブなイメージを持つ人が多い経営者が教育現場で教えたほうがいいと思いますが、なかなかそうもいかないのが現実です。
『お金の教養=投資』ではない
国や金融機関は、国民の金融リテラシー(マネーリテラシー)を高めて、iDeCoやNISA、つみたてNISAなどの投資へ目を向けてもらおうと考えています。
あくまで、国民に、いかに金融機関が販売する投資商品を買って、投資にお金を使ってもらうかがメインです。
そのため、お金で騙されたり日々の生活に困らないように、生活設計の考え方、資産形成や家計の考え方を身に着けてください、とはあまり考えていないように思います。
金融機関は手数料欲しさに、売りたい一心で商品を販売します。個人投資家は、金融機関の言うことを信じて、手元にあるまとまったお金を一気に投資することも多く、失敗するケースも山ほどあります。
最近では、かんぽ生命の事件が話題になりましたが、氷山の一角で山ほどあると思います。
そのような背景もあり、お金や金融リテラシーという言葉を聞くと
- 投資で散々騙されて凝りたからもうやらない
- 何に投資したら儲かるの?いい情報あったら教えて
といった反応が多いですね。
かんぽ生命の事件などが出て、金融機関の販売手法もどんどんバレてきているので、これまでのように「iDeCoやNISA、つみたてNISAやってくださ〜い」といった教育では限界があるように思います。
若い世代ほどよく考えている?
「○○離れ」という言葉を聞くこともあるのではないでしょうか。
若者の車離れ、時計離れ、マイホーム離れ、恋愛離れ、結婚離れ、趣味離れ、お酒離れ、飲み会離れなど、挙げるとキリがありませんが、生活が厳しく将来不安も大きいので、あまりお金を使わない。
給料は少なく上がる保障もない、将来も見通せないため、恋愛や結婚、出産、自動車や家の購入などもためらってしまうわけです。
お金の損得に関係ない状態にならないと、なかなか踏み切りません。
だからといって全面的にケチかと言われたらそうではありません。他をケチってもスマホなどの通信費は惜しみなく使う人も多いです。
よく、いつの時代も「最近の若者は・・」っていわれますよね(笑)
「最近の若者は全然お金を使わない。車も時計も買わないなんて信じられない」などと、特にバブル世代の方々は思うかもしれませんが、
上の世代が思う以上に、現在の生活や将来不安を考え、お金の使い方を考えているのかもしれません。
将来不安が大きい時代だからこそ
将来不安が大きい「人生100年」時代だからこそ、人生全体を見据えたお金の実践的な勉強が必要だと思います。

子どもの頃から
- 将来はどんな生き方をしたいか
- 人生で何をしていきたいのか
- 将来はどんな働き方をしたいか
- 将来はどんな仕事をしたいか、するのか
- どのくらいの収入が欲しいのか、必要なのか
- どこに住むのか
- 結婚はするのか
- 子どもは欲しいのか
- いつまで働くのか
などを、一生考える、向き合う機会を定期的に持つのはかなり重要だと思います。
そのうえで、
- 自分が実現させたい人生にはどのくらいのお金が必要なのか
- 現実と理想の差はどのくらいあるのか
- これから、どのくらい稼ぐ必要があるのか
- 子どもは何人育てられそうか
といった感じで考えてきます。
これらを時系列で考えるのが、よくライフプランと呼ばれるものですね。
まとめ
お金や金融の勉強は、ひととおり学んだら終わり、というものではありません。
いまの小中学生が大人になる頃はまたガラッと世の中の仕組みが変わっていると思います。
アップルがiPhoneを発表し、スマホが世の中に浸透し始めたのが2007年で、いまからまだ10年ちょっと前です。
この10年で、世の中はガラッと変わりました。
そのため、いまから10年後どんな世界になっているのか想像もつきません。
人それぞれ自分のライフプランを設定したうえで
- 投資と投機の違い
- リスクとリターンの考え方
- 銀行の仕組み
- 中央銀行の仕組みや歴史
などを少しずつ勉強して、積極的に情報をとりにいく必要があります。
待っているだけでは国や企業は絶対に教えてくれません。